七つの椅子
「ここで能力を使い過ぎて、シスターの言ってた事が分かったの」
それは、つまり体力が減っているという事か?
「ここに居る人間を操る体力は残ってない……」
首を横に振るエレナをよく見たら、肩で息をしていた。
そんな……このままでは和華菜を助けるどころか、殺されてしまう。
「残念ですが、そのような申し出は許可出来ません」
「俺の勝ちだ。諦めろ」
はんにゃの面の下ではきっと、勝ち誇った笑顔を浮かべているのだろう。
「……ただの興味本意ですが、貴方はいくら出せるんですか?このウィナーの出した金額は大きいですよ?」
挑発的な老爺に腹が立ち、俺は奥歯を強く噛み締めた。
「な、なんだッ!?この額はッ!!」
突然寿の焦った声が会場に響いた。
「どうしました?」
老爺が振り返り寿の様子を窺う。
寿は司会者用のノートパソコンを掴んで、画面にはんにゃの面を付けた顔を近づけた。
「俺はこんな額打ち込んでなんかないぞっ!!」