七つの椅子
今ここで寿を殺したっていいが、俺から沢山の幸せを奪った奴を簡単には殺したくない。
どうせなら苦しめて苦しめて殺したい。
“突然死”なんかで死ぬのは許さない。
なら契約では誰を殺そうか?
名前と顔が一致しなければ殺すことは出来ない。
あ、ひらめいた。
これは“殺の椅子”であって“殺人”の椅子ではない。
ならば“何か”を殺せばいい。
それなら無駄に人が死ぬことはない。
俺は一つだけ名前と一致する“物”を思い浮かべた。
きっと俺の茶色の瞳は漆黒に染まっているだろう。
「契約が交わされました。これでこの呪われた椅子は貴方のものです」
俺は無事に契約を交わせた事に安堵の溜め息を漏らす。
ようやく、これで和華菜を助ける事が出来る。
そして最後の椅子となった“邪の椅子”が手に入る。