七つの椅子
第十八話
オークションでどっと疲れた私達はリビングのソファーに二人並んで座って、缶ビールで乾杯をしていた。
「ぷはーっ!あぁ……生きてるって素晴らしいわぁ」
竜治は生き延びた喜びとビールの旨みを噛み締めている。
遠くを見つめ小花を振りまいている、竜治の幸せそうな横顔を見つめ、つい笑ってしまった。
「笑うなよー。俺はエレナのお陰で生きていられるんだ」
竜治はソファーの背凭れに置いていた手を私の腰に滑らせ、ギュッと抱き寄せた。
「ありがとな」
「ん……」
いきなり唇を重ねられ驚いて目を丸くしたが、私はゆっくりと目を閉じ舌を絡ませた。
お酒臭かったが私も呑んでいたので気にしなかった。
それよりも私はこの先の事が気になって仕方がない。
腰を抱かれ竜治の体温を感じていても不安になってしまう。
角度を変えて何度もキスを繰り返しても心配で落ち着かない。
「……竜治ぃ」
だって…貴方は数日後には私を捨ててしまうでしょ?