七つの椅子
今は私を見ていても、きっと夢の中で私を和華菜に塗り替えて同じ事を繰り返すのね……。
“同じ事”では語弊があった。
私には向けてくれない“愛”を囁いて夢の中を濃厚にするの。
「……エレナ、大好きだよ……」
キスの合間に囁かれる言葉。
その言葉を素直に信じられるほど可愛い女じゃない。
偽りなら何も言ってくれなくていい。
「……私も……竜治が大好き」
ねぇ……どうしたら私だけを見てくれるの?
きっと和華菜を殺しても、貴方の心から愛が消えることは無い。
死んでもなお、愛され続ける和華菜はズルい。
もし出会うのが私の方が先だったら……。
……はぁ、これ以上考えるのは止めよう。
虚しくなるのは私だけだから。
「ねぇ……一つ聞きたいんだけど」
天井と竜治の顔が見える状態で首を傾げた。