七つの椅子
舌の動きが止まる。
「俺が殺したいのは寿だけだから」
耳元で囁かれた。
息がかかって、くすぐったい。
再び舌が動き出す。
殺したいのは寿だけ……か。
それは和華菜のため?
それとも自分の恨み晴らしのため?
椅子を集める私の為に殺してくれたりするのかな?
首筋にチクリと甘い痛みを感じる。
「やだっ……見える所に……」
少し焦った私を見て竜治はクスっと笑った。
「これから始めるのに、こうやって……見える所にキスマーク付けるのは定番だろ?」
赤い小さな華が咲いた首筋を撫で、意地悪く笑った顔がかっこよく見えて悔しい。
「なにそれ。AVの見過ぎよ」
いちいち竜治の言動に胸がギュウッとなり、それを隠す様に顔を背けた。