七つの椅子

エレナの足元には本の山が出来ていた。

痛みに苦しむ寿は意識を集中出来ず、瞳の色が紫と元の色でチカチカしている。

「……ちく、しょう……」

上手く力を発動出来ず、無理だと諦めたのか瞳は元の色に戻った。

俺はその様子を鼻で笑い、一度止めた指を再び少しだけ動かした。

「ぁあっ!!……はっ……くっ……ぅぁあっ……」

寿は片手で胸を掴む様にスーツを握りしめ、空いた方の手で背後にあるデスクに手をついて、必死に立っている。

「あった!」

ドサドサと本の落下する音が止むと、エレナは声を上げた。

どうやら隠し扉を開けるスイッチを掘り当てたようだ。

再び触るなと寿が言う前に、俺は指に力を入れ、苦しむ声で口封じをした。

エレナは本棚の奥に腕を伸ばし、スイッチを押した。

ピピピピとロックが解除される音が部屋に響き、静かに本棚がゆっくりと横に動く。

「最後に言いたい事は?」

俺の手の動きに合わせて苦しむ寿を見る。


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