七つの椅子

首から上は“顔”ではなく、ただの“血だらけの肉”と化していた。

「ククク……お似合いだよ……寿……」

俺は再びボロボロになった高々と頭上に上げると、後ろから振り下ろすのを阻止された。

「なにっするんだ!離せ、エレナッ!!」

脇の下に両腕を差し入れ、俺の動きを止めるエレナに怒鳴る。

「離さないっ!!竜治、もう止めて……気持ちは解るけど、それはもう清太じゃないからっ」

背中で叫び、俺を必死で止めようとするエレナの言葉に、足元に転がる寿だった血だらけの肉の塊を見下ろす。

ぐちゃぐちゃだった。

それが清太だったとは思えない程に原形を留めていなかった。

血は溢れ出し、所々噴き出しているし、大小様々な肉片が飛び散っていた。

俺は振り上げていた椅子を力無く下ろした。

握っていた椅子を見ると、血の滴る背凭れだけだった。

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