七つの椅子
第二十三話
寿を殺した日、竜治は人形の様だった。
眠りについても無表情で死んでいる様にさえ見えた。
竜治を包む掛け布団が規則正しいリズムで上下する横に座って、緑色の瞳で見つめる。
竜治は闇の中で、独り立ち尽くしていた。
闇の中でも竜治は無表情で微動だにしなかった。
あと2日、目を覚まさないと椅子の力で解った私は、竜治が目を覚ます日の朝、合鍵を置いて家を出た。
自分が住んでいたマンションは解約してしまっていたので、新しい家が見つかるまでホテルで生活する事にした。
綺麗にベッドメイキングされた大きなベッドの上に倒れこむ。
白い天井を見つめながら、後悔をしながら溜め息をつく。
本当に……これで良かったんだろうか。
心の底から竜治を愛している自分に問う。
私が居なくなって悲しむだろうか?
それとも、これで私達は別々の人生を歩んで行くのだろうか?
自分から家を飛び出しておいて、前者を望んでいる自分に腹が立った。
結局私の気持ちは変わっていない。