七つの椅子

少しは愛してもらえてると思っていた。

それに間違いが無くとも、竜治は目の前で殺された和華菜を深く愛していた。

彼女の為に清太を最後まで許さなかった。

あの時、目の前の惨劇が、竜治の本当の愛は手に入れられない事を証明した。

今まで自分を見てもらう為に頑張って来たが無理だと悟り、今、ここに居る。

もう……何もしたくない。

もう……何も頑張らない。

もう……何も欲しくない。

「死んじゃおっかなぁ……」

コンビニへ行くくらい、今なら簡単に死ねると思う。

死ねば二度と竜治に会う事は出来ないのに、私は死ぬ気でいた。

“努力は必ず報われる”なんて大嘘。

どんなに努力したって、がむしゃらに頑張ったって、手に入れられないモノは手に入れられない。

欲しいモノを手に入れられるのは、選ばれたほんの一部の人間だけ。

私は選ばれなかった人間。

最初から決まってたのに、ずっと無駄な事をしていたと今になって気付く。

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