七つの椅子
どうせ死んだら何も無いんだから、自殺方法も場所もどうでもいいか。
「竜治……起きたかな……」
天井に向かって呟いても答えが出る訳がないので、椅子の力で竜治の状態を確認する。
最後まで自分の気持ちには嘘を吐けないんだなと、苦笑いしながら意識を集中させる。
瞬間、竜治の心の叫び声が頭の中に流れ込んで来た。
『エレナ……行かないでくれッ』
「っ!?」
竜治が私を必要としてくれている。
驚いて集中が途切れてしまいそうになったが、竜治の声を聞く為に、再び意識を集中させる。
『俺はエレナが……』
涙が流れた。
竜治から直接聞いた事の無い言葉。
こんな形で知ってしまったが、どうしようもなく嬉しかった。
ただ、その声は切なくて悲しそうで弱々しかった。
『また失った……こんな思いするなら……死んでしまおう』
「竜治ッ!!」
私は自殺する事も忘れ、自殺しようとしている竜治の元へ急いだ。
待っててね。
今行くから。