七つの椅子
エレナは泣きながら首を振った。
「だから戻って来たんじゃない」
エレナの言葉を聞いて、俺は嬉しくて頬の筋肉が緩む。
エレナはそんな俺を見て泣きながら微笑み返してくれた。
和華菜が死んだから、エレナを選んだ訳ではない。
和華菜を助けたいと思っていたのは俺なりの正義で、愛しいからでは無かった。
気付いた時にはエレナを見つめていた。
「好きだ」
俺はもう一度想いを告げ、ゆっくりと唇を重ねた。
涙に濡れる口付けはしょっぱかったが、心は想いが通じ合い暖かかった。