七つの椅子

「ちょっと、止めてよッ。本当に気にしてないからッ」

エレナは慌てて俺の頭を上げさせる。

「私は竜治とずっと一緒に居たいの。一人で生きてたって意味無いのよ、竜治が居なくちゃ……」

エレナは俺が安心する様に優しく微笑み、頬を撫でた。

「今の私は綺麗なまま生き続けるよりも、竜治と最後の日まで寄り添っていたいの」

「エレナ……」

「大好きな竜治が傍に居れば、永遠の命なんて要らない」

俺は頬に添えられたエレナの手に自分の手を重ねる。

「俺もエレナとずっと一緒に居たい。もうエレナを失いたくないんだ。エレナ……愛してるよ」

俺は怪我をしている膝とひじに気をつけながら、エレナを正面から抱きしめた。

「愛してるって初めて言ってくれたね」

エレナがギュッと抱きしめ返す。

「これからは嫌って言う程言ってやる。だから、もう俺の前から消えないでくれ」

エレナを抱きしめる腕に力が入る。


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