七つの椅子
「もう一回言ってくれたら、居なくなったりしない」
耳元でエレナがクスッと笑った。
「愛してる。……愛してるよ、エレナ」
「私も愛してる。もう何処にも行かないよ」
エレナが腕の力を緩めたので、俺もエレナを抱きしめる腕を離す。
エレナの頬に手を添え、もう一度愛を囁いてから唇を重ねた。
もうエレナに悲しい思いは絶対させない。
冷たい涙なんて流させない。
俺が幸せにしてやる。
だから、突然俺の前から消えたりしないでくれ。
大切なモノを失う辛い気持ちは、二度と味わいたくない。
もし、エレナが消えたら俺はまた血だらけになりながら探す。
そしたら手当てはエレナがしてくれよ?
俺達はキスを繰り返し、互いの存在を確かめ合う様に強く抱きしめ合った。