七つの椅子
でもそんな俺でも25年間、ずっと不幸な訳では無かった。
結婚前提の恋人が出来たのだ。
彼女の名前は桜原和華菜(オウハラワカナ)。
とっても優しくて、とっても綺麗で、いつも笑っていて、向日葵の様な俺には勿体無い女性だった。
和華菜と出逢ってからの俺の人生、不幸な事は無かった。
仕事もプライベートも全てが上手くいっていた。
でも…コスト削減を理由に、和華菜との結婚の為に必死で働いている俺は会社をクビになってしまった。
外で油売ってる奴なんか、沢山居るのに社長である石川健二は、この俺をクビにしたんだ。
気を紛らわす為にパチンコや競馬などに金を使い、多額の借金をしてしまった。
それでも俺は和華菜との結婚の為に、借金返済を必死で頑張った。
そんな俺の傍には、いつも笑顔の和華菜が居てくれた。
なのに…なのに和華菜は当然別れを告げた。
それから俺の人生は不幸の闇に再び沈んでいった。
俺の人生最悪だ。
恋人もいない。
金もない。
仕事もない。
俺に残されたのは一つの椅子だけだった。