七つの椅子
「それと」とエレナは所有者が椅子の力を使用すると瞳の色が変わる事を教えてくれた。
金の椅子は黄色に美の椅子は赤、性の椅子はピンク、能力の椅子は緑、運の椅子は青、邪の椅子は紫、殺の椅子は漆黒に光るようだ。
だからエレナの瞳が緑からピンクに変わったのだ。
俺の目は狂ってなかったと安堵の溜め息をつく。
「で、その呪われた椅子たちは何処にあんの?」
俺の言葉に細く綺麗に整われた眉がグッと寄り、深いシワを作った。
「呪われてなんかいないわ!所有者に幸せをもたらしてくれるのよ?今の言葉訂正しなさい」
胸に添えた手でパチンと叩かれる。
本気で叩いた訳ではないので痛くはないが、長く伸ばされた爪が軽く皮膚を刺激した。
「悪かったよ。…じゃぁその幸せをもたらしてくれる椅子は何処にあるんですか?」
「私の力で解るわ」
得意気に唇の両端を吊り上げた。
俺は地図でも持っているのかと思った。
映画の様な色あせたボロボロの地図みたいな。