七つの椅子
第一話
「またダメだったァ………」
108回目のアルバイト面接も落ちてしまった。
いつになったら次の仕事が決まるのだろうか。
一人暮らしには広すぎるリビングで携帯を握り締めながら溜め息をつく。
この家は婚約者であった和華菜と暮らす為に購入した一軒家。
和華菜の意見で、全体的に落ち着いていてお洒落なデザインにしてもらった。
今は光熱費を母親に払ってもらっている。
早く仕事を見つけないと借金が日に日に増えてしまう。
玄関の新聞受けを開く。
当然、新聞を取りに行ったのではない。
毎月新聞屋に金を入れることは出来ないので契約していない。
俺は新聞ではなく、アルバイト募集チラシが入っていないか確認しに行ったのだ。
しかし、近くの商店街の名前が書いてある紙が一枚入っているだけだった。
どうやらフリーマーケットを実施するらしい。
「フリーマーケットかぁ…」
申し込みをすれば誰でも店を開けるようだ。
確か地下室には使わなくなった物が沢山あったはず。
チラシを光沢のある焦げ茶色のテーブルにそっと置き、地下室へ下りた。