七つの椅子
「君が人を見下す様な人間だとは…。見損なったよ。君をクビにして正解だったな」
目の前の石川社長は睨む様な冷たく細い目で俺を見た。
「っ…!!」
なんて人だ…。
顎が痛くなるほど奥歯を噛み締めた。
慕ってきた人が、意地の悪いクズ人間だとは思わなかった。
優しい笑顔も仲の良さも全て嘘だったのか?
…そんな事信じたくないが、過去は過去。
目の前で黒い笑みを浮かべているのが今の石川社長だ。
「…よく解りました。貴方がどれだけ最低な人間か」
怒りで拳を握る体が震えた。
ずっと俺の頑張りを認めてくれていたのだと思っていたが、どうやらそれは俺の勘違いだったようだ。
「もっと早く気付いていれば良かった」
冷たい口調で吐き捨て、社長室を出る。
その瞬間、石川社長の声が聞こえた。