七つの椅子
勝って、負けて、勝って、負けて負けて負けて……。
気付けば多額の借金をしていた。
辛い思いをさせたくないと思っていても、首を絞める事しかしなかった俺は漸く目が覚めた。
今度こそ俺は仕事を探す為に必死で朝から晩まで歩き回った。
何度も面接を受けて、その数だけ落ちた。
それでも俺は諦めなかった。
俺がクビになりギャンブルで作ってしまった借金の所為で、遠のいてしまった結婚の為に俺は必死で頑張った。
「頑張り過ぎて体壊しちゃ、元も子もないんだから休憩もしてね」
俺を優しく包み込んでくれる和華菜のその笑顔だけで、俺の疲れなんて簡単に消えてしまう。
「ありがとう」
改めて俺には和華菜だけだと実感し、より一層愛しくなった。
和華菜はこんな情けない俺に嫌気が差すどころか、相変わらずの笑顔で俺を励まし、ずっと傍で俺を支えてくれている。
俺は幸せ者だと思った。