七つの椅子
エレナはあからさまに眉を寄せ嫌な顔している。
「随分と失礼ね、清太。元カノの顔、忘れちゃうなんて」
エレナは腕を組んで、爽やかな笑顔を向ける寿を睨む。
つーか、え?…何それ、えっ!??
ビックリしすぎて寿とエレナの顔を交互に見る。
「3年も前だし、別人みたいに綺麗になってるから分らなかったよ」
寿の口調は嘘か真か判断がつかない。
俺には全てが嘘にしか聞こえないが…。
「あっそう」
エレナが睨んでいても、ずっと笑顔を崩さない。
顔に張り付いた狐の様な笑顔を見ていると気持ち悪いな。
「で、二人は付き合ってるんだ」
デスクに肘を突いて指を組んで寿が俺達を見つめる。
「そうよ。私をフッた事後悔しなさい」
エレナが鼻で小さく笑った。
それに寿が軽く笑って返す。
「後悔なんてしないよ。今、俺には結婚前提に付き合ってる彼女がいるんだ。二人に紹介するよ」