七つの椅子
有り得ない!!そんな事あってたまるかッ!!
「嘘だ…嘘だ嘘だッ!!お、俺は…今までお前の事を忘れた事なんて無かった、なのに…」
和華菜は狂った様に否定をする俺を見て、別れを告げた時の様に一筋の涙を流した。
そして声には出さないが、俺の名前を呟いた…様な気がした。
「俺は今でもお前を愛してる!だからッ」
俺の所へ戻って来てくれ。
「堂々と浮気だなんて本当にモラルの無い人だ」
寿の言葉に俺はそれ以上、声を出すことが出来なくなった。
…嘘だ、嘘に決まってる。
俺は信じない。
別れる時も今も、その涙の意味が解らない。
冷たくて暗い深い闇の中。
俺は何を信じればいい?
石川にも寿にも、俺じゃない男に寄り添う和華菜にも裏切られた。