七つの椅子
悲しみに震えながら闇の中を彷徨っていると、誰かが俺の肩を優しく掴んだ。
「落ち着いて冷静になって。私達は椅子を探しに来てて、清太は邪の椅子の所有者なのよ」
ハッとして目を開けると、俺の肩に手を置くエレナが視界に入った。
エレナの顔を見ると、細く綺麗な眉を寄せて寿を睨んでいた。
「その女が清太の隣に居るのは愛してるからじゃなくて、力の所為」
俺の肩を掴む手に力が入る。
「言い掛かりは止して下さい。和華菜は仕事もしない先輩に愛想が尽きて、立派に仕事をこなし大出世した俺の所へ来たんです」
寿が和華菜の腰を抱いて、引き寄せる。
「触るなっ!和華菜に触るなッ!!」
「彼女は俺のなんです。それに和華菜は俺を愛してるんだ。俺に触れられて喜んでますよ」
ニヤリと笑った寿は空いている方の手で、和華菜のシャープな顎の先をクイッと持ち上げた。
「止めろっ…やめろ、止めてくれッ!!」
二人を今すぐにでも引き剥がしたいのに、足が動かない。