七つの椅子

「それで俺の椅子を奪いに来たのか」

和華菜の腰を撫でていた手を自分の顎に当てた。

「今日は所有者が誰か見に来ただけよ」

奪いに来たのだと思っていた俺は驚いてエレナを見る。

「私達が椅子を手に入れられるのは、所有者である清太が死ぬか、所有権を放棄した時だけ」

奪う事が目的では無かったのは寿が所有権を放棄しないと判っていたから。

それに俺達には寿を殺す術が無い。

「椅子は渡さないよ。それよりエレナ、君は何の椅子を所有しているんだ?」

俺達が邪の椅子を所有出来る条件よりも、他の椅子に寿は興味があるようだ。

「美の椅子、能力の椅子、性の椅子の3つよ」

「淫乱で超能力者の美人なエレナ。そんなさえない男の傍に居るなんて勿体無いよ。今の君なら俺の二人目にしてあげるよ」

クククッと喉で笑った寿は、黒い笑みを浮かべて両手を広げる。

「冗談よして。頭のいい先輩の婚約者を無理矢理奪う哀れな男の所になんか、こっちから願い下げよ」

腕を組み、寿を拒絶の意味を込めて睨みつける。

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