七つの椅子
エレナは涙をいっぱいに溜めて、震える声で叫んだ。
俺は涙を流さないエレナを見つめる事しか出来なかった。
肯定したエレナが面白くなかったのか、つまらないと言った顔で和華菜の顎を上げた。
「和華菜が愛してるのは誰だ?」
和華菜は何かを訴えた視線を俺に向けたが、次の瞬間には綺麗な微笑みを寿に向けていた。
「私が愛してるのは清太さん、ただ一人よ」
同じ事をサラリと言ってしまう和華菜。
「俺も同じ気持ちだよ」
二人の唇は近づき今度こそ、それは重なった。
和華菜は寿の背中に腕を回す。
「嫌だっ、やめろっ!!和華菜!和華菜っ!!」
今すぐ引き剥がしたいのに、体が動かない。
足が床を離れてくれない。
「離れろっ!俺の和華菜から離れろッ!!」
俺は動かない体に苛立ちながら、叫ぶことしか出来なかった。