七つの椅子
「なにが、とにかくよ…」
俺は冷ややかな目から解放され、エレナはマリア像に手を合わせる老人を見つめた。
「この辺じゃアレが当たり前なのかしら」
「俺達には縁のない行動だな」
背中の丸くなった老人が膝を突いてマリア像に頭を下げる。
「あぁマリア様、どうか我々をお助け下さい」
老人は懸命にマリア像の前で祈り続けている。
「さぁ祈り続けなさい。その強い思いはきっとマリア様に届きます」
前に会ったシスターの声が聞こえた。
だが姿が見えない。
「あぁ、マリア様が来て下さいました」
再びシスターの声が聞こえ、俺とエレナは声の主を探した。
「えっ!?」
「はっ!?」
俺とエレナが目を丸くしたのは同時だった。