七つの椅子
椅子は重力に従い、音を立てずにピカピカの床に降り立った。
シスターは此方に顔を向け、静かに口を開いた。
「あぁ、あなた方は…。今日はどのようなご用件で?」
微笑んだシスターの瞳には先程の輝きは無かった。
「やっぱりここにあったのね」
エレナは鏡の様な床を大股でシスターに歩み寄る。
スカートの中は、、、見えない!!
「この椅子を探していたんですか?」
真横に来たエレナを見上げ、不思議そうに首を傾げる。
「そうよ!隠してたのね!?」
「隠すなんて……。貴方が椅子を探していると言うから、沢山イスの置いてある食堂に案内したんです。見つけられなかったのは私の責任ではありません」
シスターは感情の見えない口調だが、エレナの物言いに少し腹を立てているのが分かった。
「シスター、さっき目が青く光ってたけど」
エレナが正論を述べたシスターに跳びかかりそうだったので、慣れないフランス語で質問しながら二人の間に立つ。
エレナが俺を邪魔そうに睨む。
それに俺は苦笑いを浮かべながらシスターの返答を待つ。