七つの椅子
第十一話
目が覚めた。
薄暗い部屋に浮かび上がる天井を見つめる。
人の温もりが無かったので、首を動かすとエレナは隣に居なかった。
一階から物音が聞こえたので、水でも飲んでいるのだろうと思い、再び天井を見つめる。
久しぶりに見た夢のお陰で、モヤモヤとしている気持ちが晴れた気がした。
この夢を見て、感じたこの気持が俺の本心なのかもしれない。
俺はアイツを……。
気持ちの整理をし、目を閉じて再び眠りの世界へと身を落とす。
次に目を覚ましたのはお昼を少し過ぎた。
隣でエレナはまだ眠っていた。
やはり夜中に水を飲んでいた様で、サイドテーブルに飲みかけのグラスが置かれていた。
エレナは起きる気配がないので、シーツを剥き出しの肩まで掛けてやり、一階のリビングへ向かった。
お湯を沸かしている間にカーテンと窓を開け、玄関に新聞を取りに行く。
いつも俺が使っている白いマグカップに、インスタントコーヒーをスプーン一杯入れる。
砂糖もミルクも入れない、俺はブラック派だ。