七つの椅子
ピーピーとヤカンからお湯が沸騰した音が聞こえたので、マグカップを持ってキッチンへ向かった。
マグカップにお湯を注ぐとコーヒーの香ばしい香りが鼻を優しく撫でる。
スプーンで軽く混ぜ、リビングへ戻る。
ソファーに座り、新聞片手に淹れたてのコーヒーを一口。
余韻に浸りながら適当に開いたページを読む。
「突然死……?」
太字で大きく書かれた文字が気になり、小さい文字が並ぶ詳細に目を走らせる。
記事によると、最近何人もの人々が何の前触れもなく突然死亡しているらしい。
それも大手企業のトップや政治家など偉人ばかりだ。
更に読み進めていくと、彼等は死と隣り合わせの病を抱えていた訳ではない為、一部ではテロではないかと言う声が上がっている。
原因不明の突然死。
もしかするとこれは……。
「おはよ……」
考え過ぎていたのか、背後にエレナが立っていた事に気が付かなかった。
「あぁ、おはよってお前、クマひどくないか?」