七つの椅子

「それは寿が所有する邪の椅子のせいだ」

和華菜はカプチーノを飲む手を止める。

「よこ、しまの……いす?」

「あぁ。俺達は今、七つの椅子を集めてるんだ。寿が持っている椅子はその内の一つ」

和華菜は首を傾げている。

「他にも人を操る椅子が存在するの?」

和華菜の瞳からは恐怖が窺える。

「操れる事が可能な椅子はいくつか存在してる。ただ七つの椅子は所有者の欲望を叶えてくれるんだ」

「じゃぁ私は彼の欲望のせいで操れれているの?」

コーヒーを飲み干してから頷く。

「そんな……。信じられない。そんな椅子が存在するなんて……。有り得ないわ、そんなの」

「でも、和華菜は俺の前から居なくなった。それはお前の意志か?」

「違うっ!!」

和華菜がテーブルを叩き、カシャンとカプチーノの入ったコップが鳴る。



< 97 / 174 >

この作品をシェア

pagetop