七つの椅子
「それは寿が所有する邪の椅子のせいだ」
和華菜はカプチーノを飲む手を止める。
「よこ、しまの……いす?」
「あぁ。俺達は今、七つの椅子を集めてるんだ。寿が持っている椅子はその内の一つ」
和華菜は首を傾げている。
「他にも人を操る椅子が存在するの?」
和華菜の瞳からは恐怖が窺える。
「操れる事が可能な椅子はいくつか存在してる。ただ七つの椅子は所有者の欲望を叶えてくれるんだ」
「じゃぁ私は彼の欲望のせいで操れれているの?」
コーヒーを飲み干してから頷く。
「そんな……。信じられない。そんな椅子が存在するなんて……。有り得ないわ、そんなの」
「でも、和華菜は俺の前から居なくなった。それはお前の意志か?」
「違うっ!!」
和華菜がテーブルを叩き、カシャンとカプチーノの入ったコップが鳴る。