七つの椅子
「違う……そんな、こと。竜治から、離れるなんて……。私は、そんな事しない……」
血が出るんじゃないかという程、和華菜は下唇を噛む。
「和華菜は自身で椅子の力を体験してる。不思議な力を持った七つの椅子は存在するんだ」
「私は……助からないの?」
不安の色で塗り固められた瞳で、和華菜が真っ直ぐ俺を見る。
「大きく分けると2つある。寿に椅子の所有権が無くなるか、寿の意思で和華菜を解放するか」
寿を殺すという3つ目の方法は伏せておいた。
「彼が私を解放するなんて有り得ないわ」
「そんだ。だから寿の所有権を奪う。俺達はその為に残りの椅子を探してる」
マブカップに手を添えた和華菜の手を握ろうと、膝の上に置いた自分の手を動かす。
PiPiPiPiPiPiPi……
突然の電話。
和華菜のケータイだった。
「……もしもし」