シーソーが揺れてる
「あーそう。まっそういうことだからさ」
そう言うと春香はテレビに目を向けた。画面ではちょうどCDのランキングが流れていた。
「あっ、清水翔太だ。あんたこの人好きでしょう?7位だよ。へえ、いつの間に新曲出してたんだー。あっ、来週ゲストで出るって」
しかし広美の返事は無かった。
「ねえ、春ちゃん」
しばらく沈黙が続いた後、広美の不安げな声が春香を呼んだ。
「なに?」
「春ちゃんこれからどうするつもり?」
「え?うーん、・・・」
春香は考え込んだ。広美からの質問は、今まで春香が自分の中で忘れたふりをしていたことだったのだ。
「とりあえず、体調が落ち着いたらバイトでもしようかなあって・・・」
「バイト・・・そうだ!」
広美が不意に目を輝かせた。
「いいのがあるの」
「えーっ?何」
目を輝かせたまま立ち上がる広美に春香は何となく嫌な予感を覚えた。
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