シーソーが揺れてる
「ごめんね、私へんなこと聞いちゃって。あせらせるつもりは無かったの。ごめんね」
春香の髪を撫でる広美は茫然となる気持ちをどうにか抑えつつ、できるだけ落ち着いた口調で言った。
「いいの!広美のせいじゃない!私が、悪いの!」
涙で声を震わせながら春香は訴えるように言った。
「そんなことないよ」
広美のその後の台詞がどうしても続かない。突然声を上げて泣き崩れる春香になんて言ってあげればいいんだろう?広美はあせった。
自分の部屋に転がり込んできた春香は、躁鬱状態で精神的にも肉体的にも不安定であることはもちろん知っていた。しかし、こんな春香は今まで見たことがない。
「なんでこうなっちゃったんだろう?春ちゃんは今何を考えていて、春ちゃんの中で今何が起こっているんだろう?分からない、分からないよ・・・!」
広美は今もなお泣き続けている春香からそっと立ち去った。
「とりあえず今はそっとしておくしか無いのかも・・・」
そう思ったからだ。
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