シーソーが揺れてる

「あのー、もしかして・・・」
声をかけたのは春香だった。
「・・・」
無言だったがその人は確かに春香の声に気づいてこちらに目を向けた。
この時春香は初めてその人の顔を見ることができた。それは春香が思っている通りの物だった。
「杉浦直人君？」
名前を口にしたとたん、なぜだかものすごく恥ずかしくなった。
「そうですけど」
ぼそっと呟くような声でその人は答えた。
その声もその喋り方も間違い無い！杉浦直人だ。
「私西山春香です。覚えてますか？」
「覚えてますよ」
直人はあっさりと返した。