シーソーが揺れてる
大9章

「直人、だいじょうぶかー?」
仕事の合間、どこか浮かない表情の直人に親父さんが声をかけた。
「あー、だいじょうぶ・・・」
そう答える直人の声は曇りがちだった。
「ほんとかー?」
念を押すように親父さんは再び聞いた。
「うんちょっと暑いもんで・・・」
おれすげえ!嘘つくの天才かも・・・?
直人はまたしても口をついて出た言い訳を自画自賛した。
「そっかー。あまり無理すんなよ」
親父さんは直人の肩をぽんと一つ叩くと、忙しそうにすたすたと走り去って行った。
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