シーソーが揺れてる
そんな春香を知ってか知らぬか直人は続けてこう言った。
「ようするに、暇ってこと?」
その言葉に、春香の心は突然ぽっと一筋の光が現れたような、そんな感じに包まれた。
「そっ、そう、そう言うこと」
「まあ何もしないでずーっと寝てたらやること無いよな」
「そっちはまだ仕事なんでしょう?」
「うん」
と、その時だ。
「すみませーん先輩、トイレ開けてもらえますかー?!」
ノックの音と共に慌てふためく良太の声が飛び込んできた。
「おっ、わりいわりい」
受話器から耳を離すと、直人は音のした方へ叫んだ。
「ごめんまた後でかける」
そう言って直人はまた春香の返事を聞かずに電話を切った。
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