シーソーが揺れてる
「あー。で、どうしたの?」
何となく冷たいような声で直人は聞いた。
春香はできるだけ落ち着いた声を心がけて尋ねる。
「あのさあ、あんた、次の休みっていつ?」
「今週はえーっと、金曜日だったかなあ?」
「そっかー」
「なんで?」
「いや、あのさあ・・・」
春香は口ごもった。良太からのメールのことを話そうか迷っていた。
いくら何でもいきなり、「片山君からあんた最近悩んでるって聞いたから」とも言いにくいし。
それでも春香は必死に脳を回転させてどうにかこう言った。
「私も暇だから、遊ばない?」
「おれとかー?」
「うん」
受話器の向こうで沈黙が流れた。
「まあ、べつにいいけど」
そう答えた直人はまだ半信半疑と言うような気分だった。それもそうだろう。
なぜ突然春香から誘いがきたのか?これは何かあるに違い無い!でも、・・・。
「どっか行きたいとこある?」
戸惑っている直人の耳に、春香の声が飛び込んできた。
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