シーソーが揺れてる
「もしもし、私春ちゃんの友達の中沢広美と言う物なんですが」
「はあ・・・」
突然聞こえてきた早口で喋る聞き覚えの無い女の声に、直人は気が動転しそうになった。
「じつは今春ちゃん精神的にものすごく不安定な状態にあるの。だからまた調子がよくなったら春ちゃんの方からかけ直すようにするから、今は1度切らせて。ごめんね」
そう言って広美は電話を切ると、携帯をそっと閉じてテーブルの上に戻した。そして再び春香に目をやった。春香は声は上げていないものの、嗚咽混じりにまだ泣き続けている。
「どうしてあげたらいいんだろう?」
テーブルの上の携帯と、ソファーに座ったままうなだれる春香を交互に見ながら広美は声を出した。
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