シーソーが揺れてる
それからどれだけの時間が過ぎただろう。
いつの間にか嗚咽混じりの春香の声は無くなっていた。
「春ちゃん?」
広美は恐る恐る春香を呼んでみる。
「・・・」
広美の声に、春香は唇を薄く開いたが返事が無い。
「だいじょうぶ?」
広美は再びそっと春香の肩に手を延ばした。
「うん」
か細い声ではあるが、春香は確かにそう言ったことを広美は確認した。
「もしかして、あの人がこの前ランチに誘われたっていう」
「違う」
「あっ、そう」
弱々しい春香の反論に、広美は少し圧倒されつつもさらに質問を続ける。
「じゃあさっきの人は誰なの?」
広美の問いに、春香は空中に目を泳がせた。
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