シーソーが揺れてる
「どれがいい?」
ビニール袋を直人の方にひょいと押しやると春香は聞いた。
「選んでいいの?」
春香は頷いた。
「うーんどれにしよっかなあ・・・」
袋の中の物を一つ一つ丁寧に見ながら直人は考えた。
「じゃあこれ」
そう言って直人はウィンナーロールを1本引き抜いた。
「えっ、それだけでいいの?」
少し驚いたように春香は尋ねた。
「うん。だってまだそんなに腹減ってないもん」
「べつに今食べなくてもいいのよ。お昼になってから食べれば」
「あー」
直人はウィンナーロールを大事そうに手の上に乗せた。それはとっても暖かかった。
沈黙が流れる。
二人の真上の空は少し曇りがかってはいるが、心地よい風が公園の草や木の葉をさらさらと揺らしていた。
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