シーソーが揺れてる
「おっ、あれは日産かー」
直人が呟くと、すぐ2代めの車が通り過ぎた。
「あー、あれは豊田だなあ?あっ、今反対側に曲がってったのは本だ?」
「ちょっちょっとあんた、車の音だけでどこの会社かが分かるの?」
春香は思わず直人をがん見した。
「あー、だいたいな」
直人は答えた。
「さすが車屋の息子・・・」
春香はただただ感心するしかなかった。
「そうだ、車屋と言えば・・・!」と、突然春香はぱっとあることを思い出した。
それは先日の良太のメールだ。「先輩、何か悩んでいるみたいなんですよ」
「ねえ、あんた最近何かあったの?」
聞き終えた瞬間「しまった!」と自分を後悔した。
「何で今こんなことを・・・?」じわりじわりと沸き上がる後悔の念に刈られる春香に対して直人は言う。
「いや?べつに何も?」
「そっ、そう」
直人の答えに、春香はほんの少し安心はしたが、それは気休めのような物にしかならなかった。
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