シーソーが揺れてる
「おまえもやってみろよ」
息を切らしながら滑り台から地面に降り立つと、直人はベンチの前で佇む春香を呼びかけた。
「やるわけないでしょそんなこと。それよりあんた、だいじょうぶなの?」
「あー、だいじょうぶだ」
何とか呼吸を整えると、直人は再び滑り台の階段の方へと歩き出した。
「あんたまだやるつもり?」
「こんどは寝っ転がって頭から滑ってみる」
そう答えながら直人は階段の前に立った。
春香は冷たく吐息をもらすと、直人から目を反らしベンチに腰を卸た。
直人はテンポよく滑り台の階段を上って行く。
「あーっ!」
階段を登り切り斜面に足を延ばして鉄の板の上に寝転んだ直人は声を上げた。そしてベンチに座る春香に呼びかける。
「おまえも上って来いよ」
「だから嫌に決まってるでしょう。それに寝転がって滑るだなんて、そんな無謀なこと私がやるわけ・・・」
「いや違うんだよ。まあ上って空を見てみろ」
「えーっ?」
半信半疑のまま春香は言われたように直人の居る滑り台の階段を上った。
< 178 / 284 >

この作品をシェア

pagetop