シーソーが揺れてる
「うんだからさあ、あの鯨雲に乗りたいなあって思っても、一人でジャンプしたんでは力が足りなさすぎて全然届かない。でもその一人の力が40人分集まったらどうだ。何回も何回もチャレンジする内に、とうとう鯨雲に乗れただろう?一人じゃどうにもならないようなことでも、みんなが集まればできるようになるって、そう言う話なんだろうな、あれって」
雲を見上げたまま直人は不意に思い出したように言葉を並べた。
「なるほどねえ」
春香の視線は寝転ぶ直人の頭に注がれていた。その姿勢のまま、引き続き春香は言う。
「あんたもたまにはいいこと言うじゃない」
「たまにはって何だよ」
直人は不服そうに返事を返した。と、その時だ!
「うーっ、・・・!」と、二人の真後ろで突然大きな音でサイレンが鳴り響いた。
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