シーソーが揺れてる
「はい」
直人の向かい側に座ると、春香はすぐに買ってきた物を手渡した。
「あー」
直人は背けていた顔を春香の方に向ける。
「ありがとう」
続けて直人は礼を言うと、ボトル缶のふたを捻った。
「ぷしゅっ、ぱきぱき」という缶が開く音が春香の耳に響いた。
「どう?美味しい?」
ぐびぐびとお茶を飲む目の前の直人に春香は聞く。
「うまい」
それを飲み干した直人は答えた。
「そっかー。よかった」
そう呟く春香の頬を、風がさらさらと撫でる。その風に何とも言えない心地よさを感じる。
「今日はありがとう」
そんな言葉がごく自然に春香の口を突いた。
「こちらこそ」
直人は改めてと言う風に春香を見る。
春香は一瞬戸惑いかけたが、すぐに冷静さを取り戻すと言った。
「いろんな話しができて楽しかった」
「うん」
「また休みがあったら会おうよ。こんどは片山くんも一緒に」
「えーっ、あいつも誘うのかー?」
直人は嫌そうな顔をして見せた。
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