シーソーが揺れてる
「私と直人も幼稚園や小学校の頃はよくシーソーに乗って遊んでたのよ」
「えーっ、先輩も・・・?」
良太はシーソーに乗る幼い頃の直人の姿を想像してみる。きっとやんちゃな子供だったんだろうなあと思うと顔がほころんでしまった。
「この前の金曜日も、直人とこうやってシーソーに乗ったのよ」
「えーそうなんですか?」
「うん。その前にはあいつ滑り台もやってたわ。へんな歌歌いながら滑ったり、寝転がったまま滑るとか言い出したり・・・、あいつそういうところは全く成長してないのねえ?」
春香はころころと笑った。そんな春香を見ながら、良太は「うん、思った通りだ」と、子供時代の直人の姿を的中させた自分の想像力に手応えを覚えていた。
「あの時の直人、ものすごく楽しそうだったなあ。そういえば、あいつ何か悩んでたんだよねえ。そっかー、だからよけいにはっちゃけてたのかなああいつ」
春香の声で良太は我に帰った。
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