シーソーが揺れてる
そうだった!数日前、
「休みができても誘ってくれる友達が居ないんだよ」
と寂しそうにぼやく直人を見て、
「杉浦先輩と会ってもらえませんか?」
と自分は春香にメールしたのだ。
だからこれでよかったのだ。そう思ったとたん、良太の中で今の今まで居座っていたもやもやがやっと吹っ切れた。
だがそれと同時に何だかどうしようもなく切ない気分に襲われた。その理由は自分が1番よく分かっている。
「西山さんは僕よりも先輩と一緒に居た方がきっといい」
そんな自分が抱いていた産な確信はやはり間違いではなかった。その答えを知ってしまったから。
と言うことは、自分は春香の側で見守ることはできても、寄り添うことはしてはいけないと言うことになるのだ。
良太はシーソーを漕ぐ足を緩めた。
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