シーソーが揺れてる
第13章

バスに乗り込んで来た子供の声で春香は目を覚ました。
実家へと戻るバスは、親戚の叔母ちゃんの家の前を通り過ぎるところだった。
あー、もうそんなところかー。春香は頭の中のぼんやりとした声をあくびと共に吐き出した。
もう少しすると動物園が見えてくる。さらに行くとホテル街や遊園地があって・・・。
久しぶりに通る道なのに、全く懐かしさを感じないのはどういうことだろう。あまり帰りたくなかったとは言へ少しくらいは「うわーっ!」と深呼吸したくなるような気分になってもよさそうなはずなのに・・・。
そうぼんやりと考えている内にアナウンスが降りるバス停名を告げた。
バスを降りてからも、春香の気持ちは変わらなかった。正直言ってとても憂鬱だった。
家に帰れば絶対家族から何か言われるに違い無い。
当たり前だ。全て自分が悪いのだから・・・。
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