シーソーが揺れてる
「あっそうだった」
春香は手に取ったリモコンをテーブルに戻すと仏壇の方へと歩き出した。
仏壇の前に正座すると、今さっきリモコンを掴んでいた手で細い木の棒を取ると、茶碗のような物を3回叩いた。
それは「ちんちんちん」と涼しげな音をたてて響いた。叩き終えて木の棒を置いてからもその倍音は続いていた。
だんだん小さくなっていくその音を聞きながら、春香は改めて目の前にある祖父の遺影をじっくりと見つめた。
春香は祖父と話す時間が好きだった。元小学校の先生で読書家でもあった祖父晋平は、幼い春香を前に茶の間で本を広げながら生き物の話やエジソンやベートーベンと言った偉人の話をたくさん聞かせてくれた。春香が読書好きなのは、そんな祖父の影響なのかもしれない。
思えばピアノを始めたのも祖父の勧めだった。
春香は5歳でピアノに触ったのだが、当時虚弱体質だったため、体調を崩すことが多く、外に出て思いっきり友達と遊ぶことができなかった春香に、「何か楽しいことを与えてあげなくては」と思い立った祖父はすぐ中古のアプライトピアノと「子供バイエル」の本を買い与えたことが始まりだったのだ。
春香は手に取ったリモコンをテーブルに戻すと仏壇の方へと歩き出した。
仏壇の前に正座すると、今さっきリモコンを掴んでいた手で細い木の棒を取ると、茶碗のような物を3回叩いた。
それは「ちんちんちん」と涼しげな音をたてて響いた。叩き終えて木の棒を置いてからもその倍音は続いていた。
だんだん小さくなっていくその音を聞きながら、春香は改めて目の前にある祖父の遺影をじっくりと見つめた。
春香は祖父と話す時間が好きだった。元小学校の先生で読書家でもあった祖父晋平は、幼い春香を前に茶の間で本を広げながら生き物の話やエジソンやベートーベンと言った偉人の話をたくさん聞かせてくれた。春香が読書好きなのは、そんな祖父の影響なのかもしれない。
思えばピアノを始めたのも祖父の勧めだった。
春香は5歳でピアノに触ったのだが、当時虚弱体質だったため、体調を崩すことが多く、外に出て思いっきり友達と遊ぶことができなかった春香に、「何か楽しいことを与えてあげなくては」と思い立った祖父はすぐ中古のアプライトピアノと「子供バイエル」の本を買い与えたことが始まりだったのだ。