シーソーが揺れてる
しかしそうとは知らず家族や友達は、
「春香はセンスや感性があるからきっとすごい音楽家になれるよ」、
「自分の夢に向かって進んで行く春香はかっこいいよ。憧れちゃうなあ」などと春香に期待の星のような視線を送っていた。
音大の先生がたからも、
「彼女には素質がある」、
「西山さんの力強いピアノの音が私は好き」などお墨付きを得手いた。
しかし春香はそれらの言葉には全く実感が沸かなかった。音大での生活の全てを自分は望んでいなかったからだ。
「音楽は楽しい物。自由で居られる物」と春香は常々そう思ってきた。
しかしこの時の自分は違う。
音楽をやっているはずなのに、大好きな音楽に1日中囲まれて過ごしているはずなのに、楽しくもなければ自由でもない。
そう、私は音楽をやることで自由になりたかった。誰かから与えられたレールの上など歩きたくなかった。
この道を選んだのは自分なのに・・・。だけど・・・。
名前をつけることも、カテゴライズすることもできないような感情が春香の心も体も蝕んでいった・・・。
もしかして、今の良太もこんな気持ちなのかなあ。受話器を握り締める春香の胸がぎゅーっときつく狭まる。
「春香はセンスや感性があるからきっとすごい音楽家になれるよ」、
「自分の夢に向かって進んで行く春香はかっこいいよ。憧れちゃうなあ」などと春香に期待の星のような視線を送っていた。
音大の先生がたからも、
「彼女には素質がある」、
「西山さんの力強いピアノの音が私は好き」などお墨付きを得手いた。
しかし春香はそれらの言葉には全く実感が沸かなかった。音大での生活の全てを自分は望んでいなかったからだ。
「音楽は楽しい物。自由で居られる物」と春香は常々そう思ってきた。
しかしこの時の自分は違う。
音楽をやっているはずなのに、大好きな音楽に1日中囲まれて過ごしているはずなのに、楽しくもなければ自由でもない。
そう、私は音楽をやることで自由になりたかった。誰かから与えられたレールの上など歩きたくなかった。
この道を選んだのは自分なのに・・・。だけど・・・。
名前をつけることも、カテゴライズすることもできないような感情が春香の心も体も蝕んでいった・・・。
もしかして、今の良太もこんな気持ちなのかなあ。受話器を握り締める春香の胸がぎゅーっときつく狭まる。