シーソーが揺れてる
いすに座ったまま春香はふたの閉まっているピアノの上に体ごと突っ伏した。
大声で泣く自分の声が部屋中に響き渡る。
もういったい何回めになるだろうこのパターン。あの時と全く同じじゃないか。そう遠くはない昔、受話器越しで・・・。
携帯が震えた。しかし開く気にはなれなかった。電話だとしたら話せる状態じゃないから絶対に出られない。
どのぐらい立っただろうか。
ふと気がつくと、右腕が痺れているのを感じた。ずっとへんな姿勢をしていたからだろうか。
春香は右腕をさすりながら突っ伏していた体をピアノから起こした。
痺れがひくと、さすっていた左手でズボンの右ポケットから携帯を取り出して時間を見た。
21時48分。どうやら泣き疲れて少し眠っていたみたいだ。
新着メールが届いていた。さっき携帯が鳴っていたのはこれだろう。まだぼんやりしている頭で、春香は開かれたメールの文字を追う。
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