シーソーが揺れてる
大14章
1
その日の午後。
春香は鼓動の音を聞いていた。辺りはしんと静まり返っていて、空気がぴんと張り詰めている。
今自分は緊張しているんだと改めて実感した。この緊張はいつ以来だろう。この感じ、音大の実技試験の時とよく似ているな。そんなことを考えている内に、声が掛かり出番がきた。
横2列に並ぶ30人ほどの人々について春香も席から立った。ついにこの日がやって来たのだ。合唱大会の本番だ。
全員がステージの上に並ぶと、客席から拍手が起こった。ほんの少しの間の後、もうすでに聞き慣れているピアノのイントロが流れた。曲は小田和正の「確かなこと」だ。
春香を含めたソプラノが早速メロディーを歌い始めた。その4小節後にテノールとベースが、さらにその2小節後に広美たちのアルトが歌い始めた。
思えば広美に誘われてこの合唱サークルに参加したのだ。
正直言ってあまりやる気は無かった。ただの暇潰し程度にしか考えていなかった。しかし・・・、
「歌ってる時の春ちゃん、ものすごく楽しそうに見えた」
1番の錆のところまで来た時、春香はふと広美のそんな言葉を思い出した。
春香は鼓動の音を聞いていた。辺りはしんと静まり返っていて、空気がぴんと張り詰めている。
今自分は緊張しているんだと改めて実感した。この緊張はいつ以来だろう。この感じ、音大の実技試験の時とよく似ているな。そんなことを考えている内に、声が掛かり出番がきた。
横2列に並ぶ30人ほどの人々について春香も席から立った。ついにこの日がやって来たのだ。合唱大会の本番だ。
全員がステージの上に並ぶと、客席から拍手が起こった。ほんの少しの間の後、もうすでに聞き慣れているピアノのイントロが流れた。曲は小田和正の「確かなこと」だ。
春香を含めたソプラノが早速メロディーを歌い始めた。その4小節後にテノールとベースが、さらにその2小節後に広美たちのアルトが歌い始めた。
思えば広美に誘われてこの合唱サークルに参加したのだ。
正直言ってあまりやる気は無かった。ただの暇潰し程度にしか考えていなかった。しかし・・・、
「歌ってる時の春ちゃん、ものすごく楽しそうに見えた」
1番の錆のところまで来た時、春香はふと広美のそんな言葉を思い出した。