シーソーが揺れてる
自分ではまだよく分からないが、ひょっとしたら広美の言うとおりかもしれない!今こうしてみんなと向かえられている本番のステージで春香はそれに気がついた。きっと一体感の連鎖がそう思わせているのだろう。
そんな思いに刈られながら曲が後半にさしかかった時だ。
「あっ、あれ、もしかして・・・」
春香の目が客席の後ろの方でじっと座ったまま動かずに居る人影を捕らえた。
「嘘っ!」
これも曲のせいなのか、じんわりと暑い嬉しさのような物が春香の胸を満たしていく。
直人だ。来てくれたんだー!すごく嬉しいような、ちょっと恥ずかしいような・・・。
演奏が終わると、客席から再び拍手が沸き起こった。それは演奏が始まる前の物よりも大きかったように思えるのは、達成感のおかげかもしれない。
春香たちの演奏が終わるとプログラムは20分間の休憩に入った。
サークルの仲間と共にステージを降りた春香は早速あの人影の元へと走った。
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